番外(少年を排除して人形を完成させた場合)
(少年を某邪神と思い排除した かつ、存在しない部屋に入らず、人形の全パーツを回収した場合)
~【6】番目の部屋で左腕を取って女に追いかけられて最初の部屋へ転がり込むところまでは同じ~
探索者は最初の部屋へなだれ込む。
疲労か緊張の糸が切れたからか、探索者は入室した瞬間に床に倒れこんでしまった。
顔を上げて人形を探す。
いない。
手の中にあったはずの人形の左腕も、いつの間にかなくなっていた。
いったいどこへ、と考えていると、背後から走り寄る音とブツブツと何かをつぶやく声が聞こえてきた。
(聞き耳)
女の声。
「貴様も私とあのひととの邪魔をするのか」
「憎い。憎い憎い。あの人形も、あの人形に加担する貴様も憎い」
女が開け放たれたままの部屋へと飛び込んできた。
そのまま倒れ伏している探索者へと馬乗りになるよう飛び掛かってくる。
首へ手がかけられ、力を込められる。
何とか抵抗しようともがくが、女を振り払うことができない。
「憎い。」「貴様も邪魔だ。」「消えろ。」女は絶えず呟いている。目は血走っており、到底正気といえる状態でないことは理解できた。
脳と体が酸素を求め、あなたの爪が女の手の肉を抉ろうとあなたの足が女を蹴り上げようと、ついぞ望むものは得られなかった。
意識が闇に落ちていく。
最後、女の肩越しに誰かの影が見えたような気がした。
気が付くとあなたは自分の寝た場所にいた。
寝汗がひどく、全力疾走した後のように体が酸素を求めていた。
悪い夢を見たのだろうか。目覚めが悪く、どっと疲れている。
なのに夢の内容を全く覚えていない。
覚えていないということは、きっと覚えていない方がよい夢だったのだろう。
もう一度寝直すか、シャワーを浴びるか考える。
日が昇るころには覚えてもいない悪夢のことなど意識の外へ追いやられていくことだろう。
そうしてあなたは日常へと戻っていく。
ED.3 依頼人なき仕事
彼女を修理するという役割は果たしてくれましたからね。
報酬
- 生還:1d3