【2】のへや
北側の扉の部屋(【2】の紙が貼ってあったので以降【2】の部屋と表記する)。
≪前の部屋でのぞき穴を覗いていた場合≫
隣室の扉を開けたあなたは驚いた。
のぞき穴から覗いた光景は赤一色であったのに、部屋の内装は隣の部屋と同じく床も壁も真っ白な部屋だったからだ。
あの赤は一体なんだったのだろうか。
≪覗いていない場合≫
【2】と書かれた紙が貼られていた扉の向こうは、自分が今いるのと同じように白を基調とした部屋だった。
≪共通≫
部屋は机が置かれているだけの簡素なつくりである。
そして部屋の奥に何かメモのようなものが落ちているのが見える。
この部屋の探索箇所は
- 扉
- メモ
- 机
の3か所。
扉
目線より上くらいの高さに、数字の1のような線が彫り込まれている。
また、自分の目線の高さ、ちょうど隣室ではのぞき穴があった位置に、とても小さな小箱が取り付けられている。
(小箱を開ける)
小箱は上に蓋がとりつけられているがカギはかかっていないようだ。
手を小箱に入れると、丸くつるっとした感触がした。
眼球だった。
薄く青みがかった白と、虹彩の毒々しいまでに鮮やかな赤が対照的な眼球だ。
手で触る感触は陶磁器のようで、ガラスのようで、
作り物であることはかろうじて理解できるのだが、遠目に見るとつい今しがた抉り出されたかのような精巧さをもって作られている。
のぞき穴を覗いていた探索者は理解してしまうことだろう。
あなたが覗いた赤は、眼球の虹彩であったことを。
あなたはのぞき穴を通して、眼球と至近距離で見つめあっていたことを。
SANチェック 1/1d6。
眼球は持っていくことができる。
眼球を手に入れた瞬間、どこからか視線を感じたような気がした。
(敢えてのクソ高SANチェックです。
『赤い部屋』のリアルアイデアが成功していた場合、あるいはのぞき穴を覗かなかった場合は1d6から1d3くらいに軽減してもいいです。
でも、1d6を積極的に振らせたいし意識してほしいので、軽減のばあいでも「1d6から軽減ね」とさらっとお伝えください。)
怪異辞典を使う場合
(『赤』に関連したワードを調べる場合)
図書館+30% 。成功またはリアルアイデアで下記情報が得られる。
- 『赤い部屋』
- ある学生が新居に引っ越した。
暮らしも落ち着いたある日、部屋の壁に小さな穴が開いているのを見つける。覗いてみると赤いものが見えた。隣室の住人が布か何かを張っているのだろうか。
大家へ部屋の穴のことを相談にいった学生は、ふと隣室の住人について気になったので質問した。
「隣の部屋には、生まれつき目が赤い人が住んでいるんだ。」
学生はのぞき穴を通して隣人と見つめあっていた。
SANチェック 0/1。
メモ
メモには
(シナリオの殺意を上げたい場合は、
強制発狂6番で自分の頸動脈を掻き切りたい衝動にかられてください。
一瞬でいいですし、何か道具をつかうつもりなら実行の直前に正気に戻してください。
SANチェック 1d3/1d6。)
(裏を見る)
認識されることで
実体をもつ。
そしてそれは己の存在意義のために
認識した者のことを手放すことはないだろう。
KP向け情報
◆「赤い部屋は~」はこの文言に反応してもしなくても特になにもありません(フレーバー)。
◆裏側のメモに関しては、『存在していないものを認識したらダメだよー。存在しちゃうよー』程度のアドバイスです。
【1】の部屋側のメモの内容(見る=認識である)と併せて、『“存在してない”ものは見るとアウト』というものになります。(*ฅ́˘ฅ̀*)イェイ
机
本が乗っている。
ぶっちゃけ机自体に情報はない。
本も特にロールなく読むことができる。
どうやら日記のようだ。
- 日記
- =================================
●月●日。
とても素敵な人と出会った。
転んで足をくじいた私に、手を差し伸べてくれた。
王子様みたいなひとだと思った。
お礼がしたいと言い、なんとか連絡先を入手した。
人にこんなに熱心に話しかけたのはいつぶりだろう。
自分の行動にびっくりした。●月▲日
足もよくなった。
例のあのひとにお礼をと連絡したら、近くのカフェでお茶をごちそうすることになった。
連絡する前はスマホに触れる指が震えるほど緊張してたのに、拍子抜けするほどあっさりといいお返事をもらえてびっくりした。
話しかけやすいひと。
約束の日が楽しみ。●月◆日
あのひととお茶をした。
いろいろお話をするのが楽しかった。
好きなものが結構被っていて、とても話が弾んだ。
同年代だからというのもあるかもしれないけど、私たちは気が合うのかもしれない。そうだとうれしい。
また会う約束をした。■月●日
今日もあのひとと会えた。うれしい。
最近の一番の楽しみになりつつある。
あの人にとってもそうだといいな。■月×日
思い切って聞いてみた。
あのひとに恋人はいないらしい。あんなに素敵なのに意外。
もし。
もし叶うなら。
あのひとの隣にいる権利を夢見てもいいだろうか。★月■日
あのひととだいぶ仲が良くなったことを自負している。
毎週のように遊んだ。
自分磨きも頑張った。きっと、あのひとと一番仲がいい女は私。
次会った時に告白してみようと思う。★月×日
嘘つき。
恋人はいないって言ったくせに。
「僕の一番は君じゃない」なんて。
一番がいたの?って聞いたら、いるのだと、愛しているのだと言われた。
写真を見せてもらった。人形だった。
★月☆日
一日たって少し冷静になれた気がする。
人形に負けたという絶望は、昨日ほどは感じなくなった。
代わりに、人形に負けた怒りが込み上げてきた。
私なら、あなたのために動けるのに。
あなたとお話もできるのに。
どうして。&月◇日
あれからしばらく経ったが、あのひととの交流は以前と同じように続いていた。
今日はあのひとの家で話をした。
なんでも人に聞かれたくない相談だそうだ。
「最近、誰かに見られているようだ」と不安そうに話す彼は若干やつれて見えた。
なんとも痛ましい。
あのひとにストーカーがついているのだろうか。許せない。
「友達として頼ってくれたことがうれしい」と返し、対策を一緒に練ることにした。
あのひとの安堵した笑顔がとてもうれしかった。さしあたっては、監視カメラの数をこっそり増やしておこうと思う。
今まで私が認知できなかったような相手だ。
これだけで捕捉できるか不安はあるが、あのひとのために手は尽くしておきたい。
ストーカーをつかまえられたら、あのひとにとって『友達以上』になれるだろうか。(数ぺージ破られている)
※月※日
あのひとの人形が何者かに壊されたらしい。
人目を気にする余裕もなく泣き叫ぶ姿に、心が裂けそうな気持ちになった。
組み立てても部品がいくつか足りないのだと、嗚咽交じりにあのひとは言った。部品のために、いろんなところへ目をつけ、足をはこんだ。
手を焼いたが、ついぞ人形の部品は戻らないままだった。
あのひとの悲しみに寄り添いたいと思う。あのガラス玉は、せめてあのひとを見える位置に置いてやろうと一つ取っておいた。
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丁寧な文字で記された日記の最後に、手書きの乱雑な文字で
『もうみたくない』
と書かれていた。
KP向け情報(2の部屋)
◆モチーフが『赤い部屋』という怪談です。
日記の内容と合わせて、何者かが『あのひと』=『1部屋目の彼』の人形をバラバラにした構図が見えてくることかと思います。
◆また、紙の文字と日記の文字と手書きの文字の3つの筆跡はそれぞれ違います。
ところで、憧憬が恋慕にかわり、盲信からの妄信、そして憎悪にも似た執着へ変化していく過程ってなかなか性癖に刺さりませんか? (反転)
赤い部屋に限らず、都市伝説もカバーしている良書です。 |