はじめに
2022年10/8~12/11に永青文庫で開催される『永青文庫漆芸コレクション かがやきの名品』展の特別内覧展に招待いただきまして、秋季展開催前に展示を拝見してきました٩(*´︶`*)۶
(なお、これは案件ではありません。案件ではありません。ついでに撮影禁止なので写真もありません)
案件ではないのですが、じゃあ一般ピープルたる私が招待いただいた理由は昨年の私の行動にあります。
永青文庫さんの文化財修理プロジェクトのクラウドファンディング。こちらの返礼品でした。https://readyfor.jp/projects/eiseibunko_01
その辺りのぼたまるの行動については配信でやっているので割愛しますね。
漆芸コレクション
本展示は4階⇒3階⇒2階に分かれていました。各展示の章名が下記。
4階:大名家の暮らしを彩る漆芸品
3階:人々を魅了した唐物漆器
2階:蒔絵師たちの美技
4階:大名家の暮らしを彩る漆芸品
この階は国宝の『時雨螺鈿鞍』を含め、数多くの漆器と螺鈿が展示されています。
時雨螺鈿鞍についてはTwitterでもつぶやいた感じで、一面に螺鈿や金蒔絵がちりばめられた豪奢な鞍です。
時雨という名称については、新古今和歌集(巻十一)の中の
『わが戀は 松を時雨の 染めかねて 真葛が原に 風騒ぐなり』
(私の恋は、時雨が松を紅葉させることがなく、真葛が原に風が騒いでいるようなもので。
あの人を思う涙はあの人の心をかえることもなく、私の心をかき乱していくだけの状態を恨みがましくも思ってしまうのです)
(葛の葉の裏は白い。風が騒いで”裏”が”見”えることと”恨み”をかけている)
の歌意を表す文字が随所にちりばめられています。
文字自体が螺鈿でぴかぴかしててきれいだった
他にも、肥後にゆかりのある加藤清正公が所持していた桔梗の蒔絵の入った湯桶などの日用品や、
『網代螺鈿会蒔絵文台硯箱』(竹かごみたいに螺鈿が貼られて、貝殻のモチーフが埋め込まれた文机と箱のセット)みたいにスーパーゴージャスグレートラグジュアリーなものもありました。
螺鈿って角度を変えるとキラキラが変化して楽しいよね。
金も、川や水の流れを表現してたり濃淡で遠近感を出してたり…本当に綺麗。
修理クラファンで修理された絵
クラファンページで紹介されていた、横山大観、下村観山、竹内栖鳳の「観音猿鶴」が修復&展示されていました。
猿、観音、鶴の3つの絵からなる合作で、ヨレや軸木の交換などの修理がなされたようです。
近代日本画にはあまり明るくないので恐縮なのだけど、猿の毛がフワフワしてる質感や観音様の柔和な感じ、鶴の凛とした立ち姿はとても素敵だと感じたし、無事修理されてよかったなって思いました。
…自分の出したお金も、この修復に役立ったのかなって考えるとすごく感慨深かったですね…
もし今後第2弾などがあれば、また参加したいなと感じました。
(正直各施設がクラファンしないと文化財修理の予算を捻出できない現状に対しては危機感はあるし国が助成などをしてほしいところだけど、現状は制度としてどうしようもないからそれはそれで自分にできる範囲で出来ることをしたいなという顔)
3階:人々を魅了した唐物漆器
3階は中国や琉球など、さまざまな文化圏のものが展示されていました。
永青文庫さんって、国内外・今昔問わずいろんなものを蒐集されているので来るたび予想外の出会いがあって好き。
彫漆の中で、堆朱(ついしゅ)という技法名は初めて聞きました。
何回も何回も朱漆を塗って厚くなった層を削って模様を掘り出していく手法だそうで。
ぼたは長崎と縁が深いのですが、立体感と赤のツヤが血赤珊瑚の五島彫りを思い出して懐かしくなりました。珊瑚と漆、海と山でできた場所が違うのに郷愁を感じる不思議。
尾長鳥の2段重ねの箱があったのだけど、上の段と下の段それぞれに書かれている雌と雄が向かい合ってるように配置されてたのは可愛かったですね。
細かな模様が精密に、均一に繰り返されててすごいなぁって思いながら眺めてました!
彫漆以外でも素敵な品は多かったけど、特に印象に残ってるのは『雲龍漆絵輪花食龍』ですね…
大きな器が、花びらみたいな感じの形状なのですが湾曲の一つ一つに龍が描かれていて。上部の蓋にあたる部分では中央の龍を囲うように5匹の龍がいてかっこよかった。
スーパー龍タイム。
この5匹は何を意味してるのかな
中国なら五行に当てはまるのかな
それなら中央の1匹は??
と、とりとめのない思考にふけるのも楽しかったです( *^ω^*) ≡3≡3フンス
2階:蒔絵師たちの美技
この階は豪奢なソファや棚のある部屋、吹き抜けテラスのある部屋があってとても好きですねぇ…
(吹き抜けの部屋は『締切』って書いてあった。残念(´・ω・`))
ソファは座れます。
弾力が気持ちいいし布の手触りがとてもいいので展示を見て足が疲れた時の休憩(と称してゴージャスソファを堪能している)に毎回利用させていただいています。
印籠の展示が多かったのですが、雪花紋の印籠は特に好きですね(*´▽`*)
黒地に金でたくさんの雪の結晶が散らされているんですが、結晶がない空間と結晶が集まっている空間の緩急の付け方がとても好き。表面とぅるとぅる。
先日の大加州刀展(石川県金沢市)でも雪花紋の拵えが展示されていましたが、雪の結晶の幾何学的な造形は自然界の中でも神秘的に映ったのかなと思いを馳せるなどしました。
あと、黒地の背景が夜空のようで降りしきる雪を思わせてとてもいいなあと。
ガラス象嵌がなされた紫陽花印籠も隣に置かれていました。
黒地に金の葉を背景に、紫陽花の青色の花弁をガラスで表現していてとても面白かったです。
ガラスの透明感と発色が雨に濡れているようでとても素敵な紫陽花でした。内覧会の日の天候は奇しくも雨。おたくさ。また遠くの故郷が恋しくなった
お土産や図録
1階のエントランスがショップになっています。
上記のツイートにのせたような図録冊子や、過去の図録、熊本や細川家に関する本など沢山の書籍が買えます。
グッズも豊富ですね…!
(歌仙兼定の所蔵元でもありますし、シールなども売られていました)
私はしばらく外出が出来なかった期間があったのですが、知らないグッズがいっぱい増えてて楽しくなりました。
その一つがこれですね。
『黒き猫』をモチーフにした、印伝の小物入れです。
印伝というのは天然の鹿革を特殊な方法でなめして、漆を付けたものです。
滑らかな革の手触りに、ところどころぷくっとした盛り上がりがある感じです。
漆部分はぷくっとしてるけどプニプニしてなくって。
初見時はプニプニしてそうだなって思ったけど硬くてツルッとしてたので以外でした。
小物入れと名刺入れがそれぞれ4色展開されていました。(名刺入れと小物入れもそれぞれデザインが違います)
私は白地に黒き猫が一番気に入ったので購入しました。9.5~10×6.5(cm)くらいの大きさで2500円。良心的。
名刺入れの方は11.5×7(cm)くらいで確か5000円前後だったかな?こっちの金額は覚えてないや(名刺入れのサイズはクラファン返礼品名刺入れで測定)
(印傳の山本: https://www.yamamoto-inden.com/ )
書籍と図録については永青文庫のサイトから購入の手続きもできるようです。
永青文庫ショップページ: https://www.eiseibunko.com/shop.html
ぼたまるの個人的なオススメですが、今回の展示図録以外にも
『永青文庫 財団設立70周年記念 美の探究者 細川護立』の図録は超オススメです。
護立公の蒐集や推しに対する姿勢に共感する部分があるのと、永青文庫など細川関連邸宅の写真が載っているのと、『刀剣回顧録』全14回が掲載されているのと…
護立公~~~~!ってくらい好きです。尊敬。身の程知らずですみません…!
おわりに
今月10/18から東京国立博物館で国宝展で国宝刀剣19振りを含む国宝の大規模展示(~12/11)もありますし、展示期間も被っている(10/8~12/11)ので永青文庫を訪れたことのない遠方の方も是非足を伸ばしてみてほしいなって思いました。
また、永青文庫さんも来年の展示(2023/1/14~2023/5/7)で歌仙兼定や国宝刀剣(古今伝授行平や生駒光忠など)、肥後金工の作が拝見できるとのことで、今からすごく楽しみです(*´▽`*)
肥後象嵌もいっぱい見たい
