※今回の内容は刀が好きな方にとってショッキングな内容が含まれます、ご注意ください。
※キーワード:試し斬り
ちょっとFacebookに不穏な投稿が載っていたと聞いて…
まず結論から申し上げますが、
刀の試し斬りは文化財の破壊に繋がる
以上です。
居合道を極めている方で、居合用の刀剣を使って所定の物を斬っている方はその限りではないかもしれませんが、
刀って些細なことでヒケ傷(こすった傷)がつく以上、少なくとも名剣名刀や居合用ではない(美術品としての)刀では何も斬らないでいただきたいくらいなのです。
投稿内容(個人を叩きたいわけではないからプライバシーは伏せます)
問題の画像。顔本。
ちょっと全文通して理解できない。何回か読み返したけど今の僕には理解できない。
(上研磨済、白鞘付き、「保存刀剣間違いなしなので竹を斬るな」と言われた刀)で
『”孟宗竹を斬らせろ”と訴えてくる気がして』
『我慢できなくなってしまい、やってしまいました』
『XXさん、ごめんなさい』
…そこは我慢しましょうよ。いい刀だから(竹斬りは)やるなと言われたのでしょうに…
一太刀斬り込んでしまえば竹による深い引けが入るので、もう上研磨のお肌は終わり。
もう、ガンガン行ってしまうしかありません。
思った通りの素晴らしい切れ味です。
XXさん、ごめんなさい。
(原文ママの引用)
刀の研ぎを仕上げるのにどれだけの労力と資金がかかるとお思いで????
「ガンガンいこうぜ」はRPGだけにしてください(´・ω・`)
”思った通りの”…もう最初から斬ることしか頭にないのではとすら思います。
『XXさん、ごめんなさい。』って完全な煽りにしか聞こえません…
他にも多数竹を斬る写真などをあげていらっしゃるとのこと…
この人の行動は問題だと思うけど誹謗中傷したいわけでも攻撃したいわけでもないからこの投稿以外は今回言及もしないですが…
(それに、何を言った所でもう手遅れなのには変わりない…)
刀の知識があること≠名前を知っていること
刀の知識がある、ということは、
「この刀は○○の作です。○○はどういう人で~」
ということだけではありません。
刀がどういう扱いをすべきか/すべきでないかを理解し、適切な行動をとれることが”刀の知識がある”ということだと思っています。
そしてこれは実際に日本刀を所有したいと思う方以外にも知っていてほしい内容です。
日本刀は鞘から出すだけでも(抜き方が悪ければ)傷ついてしまいますし、
金属どころか木材などでも容易に傷つきます。素人の試し斬りなどもってのほかです。
素手で刀身を触れば錆びます。
錆びたり傷がついたら、研ぎに出すことでしか美しさは取り戻せません。
そして研ぎも刀の表面を薄く削るものである以上、完全に元の通りになることはありません。
最低限、これだけは理解していてほしいです。
現代に生まれた刀もあれば、千年近く前に生まれ現存している刀もあります。
長い年月いろいろな人の手に渡ってきた刀たちが現在も美しくあるのは、先人たちが刀を必要以上に損なうことがないように細心してきたからこそだと思うのです。
そしてそこにはかかわった職人さんたちへの敬意、大事にしてきた人たちの愛情もあると思うのです。
だからこそ一振でも多くの刀が後世に遺ってほしいですし、そういう土壌が育つための情報発信をさせていただきたいと思っています。
日本刀の所有を考えていない方にも上記を知っておいてほしい理由ですが、
たとえば刀剣乱舞や天華百剣、刀使ノ巫女、鬼滅の刃などで実在の日本刀がより身近になった現在、
・刀とはどういう存在であるか、
・推しである刀はどんなものか。
ということにより興味を持ちやすい風土になっています。
その状況において、日本刀の「斬れる」「怖い」などのイメージだけではなくて過不足ない実際のところの話も
広く知られていてほしいのです。
それは文化財の破壊の防止に繋がり、そして推しを長く遺していくことに繋がっていきます。
また、推しがどう生きてきたのかを知る手掛かりにもなります。
…動乱や災害の中、現代に遺れなかったものも多くあります。だからこそ、人の手で損なわれる刀がないように願っています。
(正しい知識が大多数へ普及していくことで、料理したり試し斬りしたりするようなエンターテイメントが駆逐できると期待しています。きっととてつもない長期戦ですが、まず一歩を始めないと何も変わらない…)
今回は上記の赤文字部分だけでも覚えていって下さればとても嬉しいです。
おわりに
試し斬りとか居合用の刀は、刀剣商さんか刀匠さんに尋ねてみてください。
居合用の刀などの案内はしてくださると思います。
(普段特定の刀剣商さんの紹介はしない方針ですが、今回は居合刀の選び方という記事の紹介も兼ねて濃州堂さんHPのリンクを貼らせていただきます。
大刀剣市でも居合グッズがとても充実していた印象があったので…)
では皆様、よい刀剣ライフを(◍•ᴗ•◍)ノシ
過去に 日本刀クッキングとかマジ無理ィ…って呟いた時に寄せられたクソリプで「自分の所有物でもない他人の刀に心を痛めてる」だの言われたのを未だに根に持ってるし今後もきっと忘れることはないのですが(言った相手に対してどうこうする気はない)、
少なくとも私にとっては「”自分の刀だから”好き」じゃなくて「自分の刀”も”好き」なんですよ。
(もっと正確にいうなら、”自分の刀は特に好き”。)
なんというか、よそんちのお子さんも可愛いと思うし、身内の子も可愛いと思う。
彼ら彼女らは未来を生きていくから大事に社会で守っていかないといけない。そんな感じの感覚なんですよね。私にとっての”日本刀”の感覚って。
そのくらい生活に密接してるし大事な存在だから、他人が「所有者なんだから何してもいいだろ」ってぞんざいな扱いをしてたら悲しい。
悲しいなら見なければいいという話でもあるけどそれを選択して同じような状況が繰り返された時に、行動しなかったことを嘆くだろう自分も目に見えてるので動かざるを得ない。そんな感じですね。行けども獣道。
今日の紹介は『行けども獣道』から始まる楽曲です。アリカ様かっこよくて好き。
愚痴みたいな文章になっちゃっててすみません。
おやすみなさい( ˘ω˘ )スヤァ…